14.4.07

はじめに

西洋美術をみていくなかで
絵の美しさはわかっても
宗教画に描かれている背景らしきものが
あまり理解できていませんでした。

学生時代に訪れた
イタリア研修旅行で
石井先生から解説して頂き
絵画に描かれている内容、秘密...
技術的なことや歴史の背景などが
あることを知りました。

ココではそういった絵画の楽しみ方を
少しでも分かってもらえればと思い
よく描かれている場面、よく登場する人物
に焦点をあて簡単な解説をしていきたいと思います。

14.4.06

無原罪の聖母



(無原罪の御宿り)
マリアがその母アンナの胎内に宿った瞬間
神の恩寵により原罪から免れた。
12月8日が無原罪の御宿りの祭日。

受胎告知



処女マリアに天使のガブリエルが降り
聖霊によってキリストを身ごもったことを告げる出来事

美術作品では、マリアは読書の最中、祈祷台で祈っている場合が多い。
傍らには白百合(純潔の象徴)が置かれるが、
天使が持っている場合もある。
二人の上には天上からの光や
父なる神の意志を示す聖霊の鳩が描かれている。
マリアの表情が、驚いているものや、厳粛に受け止めているものなど
それぞれの描かれ方がされている。

東方三博士の礼拝



救世主イエスの降誕を告げる新星を発見した東方の三人の王
(一般的にはメルヒオール、カスパル、バルタザールとされる)が、
エルサレムでヘロデ王にその出生地を聞いた後、
星に導かれベツレヘムの地でイエスを礼拝する場面
礼拝の際にキリストへ捧げられた3つの贈り物(黄金、乳香、没薬)から
6世紀頃に Thaddadia, Melchior, Balytora という
3人の聖人達がキリストを訪れたと解釈され、8世紀になり現在の名前が定着した。
カスパル   長老格の王でアジアを指す
メルヒオール 青年の王で欧州を指す
バルタザール 黒人の王でアフリカを指す
三博士は、欧州、アジア、アフリカの擬人像として描かれた。

羊飼いの礼拝



大天使ガブリエルからのお告げを受け、
キリストの生誕したエルサレムの南に位置する町ベツレヘムへ向かい、
同地に身を寄せる聖母マリアと幼子キリストを発見し、
跪いて尊譲と祝福の意を表す羊飼いたち。
新約聖書ではその後、羊飼いたちは神を崇め、
賛美する歌を歌いながら帰路についたとされている。

聖母子



マリアと幼児イエス・キリストをともに描いたキリスト教の図像

聖家族



聖母マリアと幼子イエス中心に
聖ヨハネなどの聖人
幼子イエスの父であり聖母マリアの夫である聖ヨセフ
または聖母マリアの母である聖アンナ
などを配する構図で描かれている。

キリストの洗礼



イエスの生涯の軌跡を綴ったキリスト伝(新約聖書)の中でも
特に重要視される教義のひとつで、
ヨルダン川におもむき、旧約における最後の預言者である
洗礼者聖ヨハネから洗礼(清めの秘儀)を受ける場面

イエスの頭上には父なる神の三位である精霊が舞い降り、
「我が愛し子よ」と声が響いたと伝えられる。
洗礼者聖ヨハネはヨルダン川を訪れたイエスが
神に選ばれた特別な存在であることを悟り、
「私こそ貴方から洗礼を受けるべきだ」と、
一度はイエスへ洗礼を躊躇ったとも伝えられている。

最後の晩餐



キリスト教美術において比較的古くから用いられ、
修道院の食堂を装飾する絵画の主題として典型のひとつでもある
もともと最後の晩餐画は裏切りの預言よりも「ミサの制定」が重要なものとして描かれていた。
それが次第にドラマチックな裏切りの預言へと絵の趣向が変化していったようだ。

イエスが十二人の使徒に対し『この中に私を裏切るものがいる』と、裏切り者を指摘する

銀30枚でユダヤの祭司長らにイエスを売ったユダが犯人。
絵画でユダは黒髪と黒髭で描かれることが多く、光輪が描かれません。

キリストの磔刑


エルサレムの処刑場で磔刑に処されるキリスト
足下には。
聖母マリア、弟子ヨハネ、聖母の母アンナ

※イエスの頭上に掲げられる≪INRI≫の四文字は
≪ナザレのイエス、ユダヤの王(Iesus Nazarenus Rex Iudeorum)≫の略式である。

キリストの遺骸の運搬(十字架降下・昇架)



磔刑に処され死した主イエスの遺骸を
岩墓へ埋葬する場を描いたもの。

イエスの亡骸の表現や身を捩じらせ倒れこむ聖母マリア
主イエスの亡骸に寄り添うマグダラのマリア
イエスの遺骸を上半身はアリマタヤのヨセフが、
下半身はニコデモが持つとされる。

ピエタ



(イタリア語:Piet、哀れみ・慈悲などの意)
十字架から降ろされたキリストの屍を抱きかかえ
キリストの死を嘆く母 (聖母マリア)の姿を表現する。

悲嘆に暮れるマグダラのマリアや聖人たちも登場する場合がある。

キリストの復活




磔刑に処され息絶えたイエスの死から三日後の早朝、
死に勝利し、復活を遂げたイエスを描いている

キリストの昇天



復活を遂げたキリストはその40日後、
オリーヴ山で最後に弟子たちのもとに姿を現したのち、
天上へと召されていく。
アーモンド形の光に包まれたキリストが立ち、
下の地面には聖母マリアと使徒たちが集まって、上方を仰ぎ見ている。
キリストの周囲には天使たちが描かれることもある。

最後の審判



死から復活して神と同位となったイエスによる
人類の救済と断罪の審判をおこなう場面で、
キリスト教義上、最も重要な教義のひとつである

裁断者(審判者)キリストと聖母マリア。
キリストはこの世の終末に現れる救世主であると考えられると同時に
世界の終焉に罪深き人類を裁断する者としても解釈される

生きながらに皮を剥がれ殉教した聖バルトロマイ(自身の皮を手に持つ)。
十二弟子の筆頭聖ペトロ(主イエスより渡された天国の鍵を手にする)。
最後の審判を告げるらっぱを吹く天使たち。
最後の審判によって復活する死者。
祝福され昇天してゆく者たち。
地獄の者たち。 などが描かれている

聖母被昇天



聖母の死後、魂が身体に戻され
天使たちに取り囲まれながら天に召されてゆく姿を描いた構図
天に召されてゆく聖母マリア。聖母被昇天とは通常、
聖母の死後、三日目に起こったとされているが、
聖母被昇天までの三日間について、
聖母は死んだのではなく、眠っていたとされる説も存在している。
天に召される聖母マリアは上方を見上げている姿で描かれ、
視線の先には、万物の父なる存在である神を配している。
画面の下部には空になった聖母マリアの墓の周りに集まる使徒を描くのが基本とされている。

キリストー昇天(神の子なので自分で天に昇れる)
マリアー被昇天(人間なのでに霊魂とともに天使に天にあげられる)

聖母戴冠



キリストより戴冠を受ける聖母マリア。
死した聖母の魂が天へと昇華した聖母被昇天の後に
おこなわれた聖母の歴史上における最終場面で、
父なる神(もしくは神の子イエス)から戴冠を受ける場面を指す

聖三位一体



本質はひとつである神を、
「父(神)」
「子(キリスト)」
「エゼキエルの鷹または聖霊を示す白い鳩 (聖霊)」という
三つの各位から成されるものだと位置付ける
キリスト教の根本的な原理。

人と神の仲介人としてすぐ脇に青い法衣をきたマリア
人を導くもの、杖をもった聖ヨハネ
などが一緒に描かれている場合もある。

13.4.06

十二使徒


最初にイエスによって選ばれた12人の弟子
聖ペテロ
聖ヨハネ
聖ヤコブ(大ヤコブ)
聖ヤコブ(小ヤコブ)
聖アンデレ
聖フィリポ(聖ピリポ)
聖バルトロメオ(バルトロマイ)
聖マタイ
聖トマス
聖タダイ
聖シモン
ユダ

聖ペトロ(ペテロ)


Petrus。アンデレの兄。弟子たちの筆頭とされる人物。
ヘブライ名シメオン、アラム名ケファ(後者から「岩」の意のギリシア名)。
主イエスより12使徒の長として選ばれた聖ペテロは天国の門を開く鍵をられる。
カトリック教会ではイエスの後継者、初代のローマ司教(教皇)として尊崇する。
バチカンのサン・ピエトロ大聖堂は彼を祀るもの。
ネロ帝の迫害下で逆さ十字架にかけられて殉教したとされている。

特徴/象徴
天国の門の鍵を持っている
十字架に逆さまに貼付けられている

聖ヨハネ


新約聖書の「ヨハネによる福音書」の著者。
Johannes。大ヤコブの弟。ペトロ、ヤコブとともにキリストの愛弟子で、
その生涯の重要な場合に立ち会っている。
12弟子の中で最も若く、そして一番長命であった。


特徴/象徴
ヨハネおよびヨハネの福音書はしばしば鷲のシンボルであらわされる。

聖ヤコブ(大ヤコブ)


Jacobus。大ヤコブともいう。ガリラヤの漁師の家に生まれた。
ゼベダイの子で、使徒ヨハネの兄。
遺骨が発見されたというスペインのサンチアゴ・デ・コンポステラは古来有名な巡礼地。
スペインでは数多くの奇蹟をなしたという伝説があり、スペインの守護聖人になっている。

*特徴/象徴・・・ホタテ貝

聖ヤコブ(小ヤコブ)



Jacobus。
聖ヤコブは、使徒大ヤコブと区別するために、小ヤコブとも呼ばれる。
初期キリスト教会の中心的指導者であったイエスの兄弟・義人ヤコブ、
最初のエルサレム教会司教として名前が残るヤコブと同一視される。
主の兄弟ヤコブは、外見がイエスと良く似ており、
イスカリオテのユダが接吻を合図にしたのは、ヤコブとイエスを取り違えないためだったともいう。

*特徴/象徴
イエスに似せて描かれている

聖アンデレ


Andreas。ペテロの弟。
ギリシアのアカイア地方でX字型の十字架で処刑され、殉教した。
アンデレが処刑されたとされるX字型の十字架は
「アンデレの十字架(セント・アンドリュー・クロス)」と呼ばれている。

*特徴/象徴
X字型の十字架と共に描かれている。

聖フィリポ(ピリポ)


聖フィリポ(Philip)は、ガリラヤのベトサイダで生まれ。
イエスの弟子の一番最初の弟子。
福音書には、フィリポについてわずかしか記されていないが、
イエスと親しく交わり、素朴で用心深く、現実的な人であったといえる。
その後の活動については、伝えによると、今のトルコのフリジアで宣教し殉教。

さらし業と帽子業の保護の聖人である。

聖バルトロメオ(バルトロマイ)


別名、ナタナエルとも呼ばれ、イスラエルのカナに生まれ育った。
友人フィリポの勧めでイエスと出会ったとき、
イエスは「まことのイスラエル人だ。この人には偽りがない」とバルトロマイのことを言った。
この出会いをきっかけに、彼は弟子としてイエスに従った。

アルメニアのアルバノポリスで生きながら皮を剥がれ殉死。


*特徴/象徴
皮をはがれて殉教したことから、それを象徴して
皮膚を肩にかけていたり、手に持っていたりしている。

聖マタイ


Matthaeus。「マタイによる福音書」の著者
ガリラヤ湖畔の村カペナウム
(イエスが布教活動の拠点としていた場所)で
収税所の取税人だったといわれている。

*特徴/象徴
ペンを持っている

聖トマス


「不信のトマス」のこと。

キリスト十二弟子の中で唯一イエスの復活を目撃していない
聖トマスが「主の傷痕に指を差し入れるまで復活を信じない」と、
その復活を否定した八日後、聖トマスの前にイエスが現れ
自らの傷痕に聖トマスの指を差し入れた。
「神の存在は、見て信じることよりも、見ないでも信じられることが幸いなのである」

聖タダイ


本名は「ユダ」。国々を伝道して回るが、シモンとともに殉教。
そのため、『ダヴィンチ最後の晩餐』ではシモンの隣の席となっている。
聖ヤコブの兄弟という言い伝えもある。
槍で突かれてペルシアで殉教

聖シモン


Simon。「*熱心党のシモン」のこと。
のこぎりで体を挽かれペルシアで殉教したとされる。
*熱心党というのは、ローマからの独立を企て、武装蜂起も辞さないとした一派。

シモンペテロ、イエスの兄弟のシモン、とは別人である。

*特徴/象徴
のこぎりを持っている

イスカリオテのユダ


Judas。イスカリオテのユダ(Judas Iscariot)。
イエスの一団の会計係。
最後の晩餐の場面ではイエスに裏切りを予告される。

30枚でユダヤの祭司長らにイエスを売り、
祭司長たちと群集をイエスのもとに案内し、
接吻することでイエスを示して引き渡した。
その後自らの行いを悔いて自殺。

*特徴/象徴
黒髪と黒髭で描かれることが多く、
黄色い衣を着けさせられていることもある。
黄色は裏切りを意味する。

一人だけ、頭に光冠が描かれない。

12.4.06

4人の福音記者


エゼキエルは幻の中に四つの顔を持つケルビムを見た。
それは人間、獅子、牛、鷲の顔であった...

新約聖書の福音記者マタイルカマルコヨハネ
福音記者の特徴を表すものとして守護動物があてられ、翼と本(聖書)を持っている。

福音書記者マタイ


新約聖書の「マタイによる福音書」の著者とされる人物。

人の顔であらわされる

福音書記者ルカ


新約聖書の「ルカによる福音書」の著者とされる人物
伝承ではルカ福音書の著者はパウロの弟子のルカという人物で
『フィレモンへの手紙』に名前が出る人物であるとされてきた。 
牛であらわされる

福音書記者マルコ


新約聖書の「マルコによる福音書」の著者とされる人物
聖書を持った有翼のライオンであらわされる。

聖マルコはヴェネツィアの守護聖人である。

福音書記者ヨハネ


新約聖書の「ヨハネによる福音書」の著者とされる人物 
鷲であらわされる。

14.4.05

さいごに

美術館、教会での作品をみるポイントは

*まずは純粋に作品を楽しむ!

*気になる作品は、作家名やタイトルをチェック。
 
*宗教画に描かれている物語をみる。

*登場人物の持物や、描かれ方をチェック。

*で、また絵全体をじっくりみる。

*感動☆

そうしていくうちに、
同じ作家が同じ場面を何度も描いていたり
たくさんの作家が同じ場面を描いていたり
同じ場面の、絵画と彫刻の違いであったり
新しい発見、疑問なんかが生まれてきたら

それはもう、次の楽しみをみつけたということだと思います。


作品を目の前に
その作品と会話をする気分で
作家が表現し、伝えたいことを
感じることが少しでもできたら
宗教画も、現代美術も、彫刻も、映像も
たいした隔たりはなく
心に入ってくるような気がします☆